私たちがトラックを作った理由

私達がトラックを作った理由

水族館へ魚を納入するにあたって、最も難しいのが『輸送』だと思います。

同じ種類の魚でも輸送方法や積み込み方法に
『こうすれば絶対大丈夫!』
ということはありません。

1度成功したからと言っても、
捕獲状態・サイズ・時期などによっては、
その方法が最良であるとは限らないのです。

これからもいつでも
状態良く魚を届けられるために、
その時々の最良の方法を見つけ出し
皆さまに喜んで頂けるような仕事をし続けていきたいと思います。

マグロの輸送

CASE1

キハダマグロの輸送時、海上生け簀内で畜養観察していた印象ではクロマグロよりもキハダマグロの方が遊泳スピードと旋回能力が高いと感じていたためトラックの水槽内でも問題は無いと認識していました。
生け簀内での餌もよく食べていたため3日間の輸送でも50cmサイズならば15尾でも安全であると考えていましたが、実際に輸送してみると狭い水槽内では遊泳がおぼつかなく、到着時に状態の良い個体は5尾だけになってしまいました。
その後、スマ、カツオ、キハダ、クロマグロの買い付けと生け簀にての畜養を経験し、それぞれに生態の違いがあることに驚かされました。

大小 様々なサイズの熱帯魚の混載輸送

CASE2

水族館リニューアル向けの輸送時、大小合わせて50種類の魚を混載することになりました。
すべてサイズが同じ魚であれば問題はなかったが、捕食被害や取り上げ作業の時間短縮などを考慮し、体長5cmまでの種類の魚はプラスチックケースに穴をあけたものを使うなどして魚種ごとに小分けし、トラック水槽内へ積み込んだ。
水量に対する魚体重計算は問題なかったが、多くのケースを詰め込んだため水槽内の水回りが悪くなり、低酸素に弱い魚種を到着までの間にほぼ全滅させてしまった。

皮膚毒を持つ魚の混載輸送

CASE3

沖縄から50種類500尾の熱帯魚の輸送時、3日間の輸送中にコクテンフグが途中で死に、皮膚毒のため状態の良かったミヤコテングハギなど6割の魚を死なせてしまった。
ソウシハギやハコフグ類、キンチャクフグ類は混載しないように注意していたが、コクテンフグの毒がこれほど強いとは思わなかった。

グルクンの大量輸送

CASE4

タカサゴ類を3000尾ほど沖縄より輸送時、自分の体調が悪く点検が不十分であったのと、航海中の海況が荒れていたため注水もかなわなかったことで、半分以上を死なせてしまった。
タカサゴ類、5種類に対する知識も乏しく輸送技術も明確ではなかったことと、積み込み尾数に対し、溶存酸素量が足りていなかったことも原因かと思う。
死魚が大量だったためか水槽内が白濁し水質が悪化したことは明白だった。
積み込み迄の畜養中の状態把握も十分できてなくて、トラック積み込み前にすでに魚の状態が悪かったのかもしれない。

マイワシ1万尾の輸送

CASE5

マイワシ10000尾を輸送中、カーフェリーに乗り込む前の点検時のこと、すでに2槽の内1層内に斃死が見られたため、ブロワー分散器、酸素分散器の調整ダイアルを大幅に変更。
それに加えて斃死個体を取り上げる際に分散器を水中から出してしまったため、酸素分散器の吐出量バランスが崩れ3時間後に全滅。
状態悪化までの過程が理解できてなかった。