繫殖コーナー #32 ゾウリエビ編

繁殖コーナー 

皆さん、お疲れ様です。繫殖コーナー担当のタイユーです!

本日は入荷したことはあるものの、繁殖に関しては未経験の生体で気になっている子をご紹介したいと思います。

 

 

こちらはゾウリエビのニスト幼生になります。

ゾウリエビは水深10~30mの岩礁海底に生息し、岩にしがみ付いたり砂の中に隠れるように生活しています。

名前の由来は見た目からきており、英名でも「slipper lobster(スリッパー・ロブスター)」と名づいています。

その外見と名前から観賞魚業界では非常に人気な上高級食材としても扱われており、食用としての需要も高いです。

ただゾウリエビを狙った漁はなくイセエビ漁などに混ざって捕獲されるため、市場ではあまり見ることはありません。

 

これほど需要の高いゾウリエビですが養殖にまつわる事業はあまり進んでおりません。

様々な研究は行われており幼生時期の生態も解明されていますが、その中で養殖が難しいと感じる点がありました。

それはフィロゾーマ幼生期の飼育の難しさです。フィロゾーマ幼生期はニスト幼生に変態する前の段階で、透明な葉のような形状をしています。この時期は非常にデリケートで水質や水流が合わないとすぐに死んでしまいます。その時期がゾウリエビの場合約1年あり、その後ニスト幼生になります。このフィロゾーマ幼生のデリケートさや管理期間が養殖するにあたり難点となっていると考えられます。

現在は国外からも需要が高まってきている種となりますのでこれらの難点をクリアしていけるよう、まずは成体が産卵できるようになるまで見てみたいと思います。